総量規制クレジットカード

総量規制クレジットカード

クレジットカードにも規制の網がかかりました。特定商取引法改正に関連して割賦販売法の改正が行われます。

本来悪質な訪問販売などを厳格に取り締まるための法律改正で、規制の中心は個品割賦にあったのですが、審議の過程でクレジットカード申込にも規制がかかりました。

金融庁が貸金業法改正で過剰規制に走ったのに刺激された経済産業省が消費者保護の立場をことさらに打ち出そうとしたのが発端のようです。

支払可能見込額は総量規制につながる!

焦点となっているのは、特定商取引法改正案第30条の2項に「支払可能見込額」という文言が入ったことです。

これは、クレジットカードの入会、更新、また限度額の増枠の際に、利用者に返済能力があるかどうかを把握するために新たに設けられるものです。

今まではクレジットカード入会の際、年収等を自己申告するだけでよかったのですが、これからは年収に加えて、預貯金の額や、返済状況、借り入れ状況などもカード会社が調べる義務を負うようになります。さらに、支払可能見込額を調査すると同時に、その金額に経産大臣が定める一定の係数を掛け合わせて「極度額」を算定します。

その割合を超えた人にはクレジットカードを発行せず、増枠にも応じないという厳しいものになります。

いずれにしろ、支払可能見込額という数値がでますので、その点で総量規制になるのではないかと懸念されています。

年収証明書、納税証明書、預金残高証明書などを取り寄せる!

この規制が実際に実施されると、利用者にとってはクレジットカードを持つことに非常に手間がかかります。

具体的な支払可能見込額の算定方法は省令待ちですが、クレジットカード入会時に年収証明書提出することが義務付けられると手続きが面倒になります。

まず、クレジットカードに入会しようとすると、年収証明書とするために給与証明を勤務先から取り寄せるか、個人事業主の場合は税務署から納税証明書を取り寄せることにまります。さらに、金融機関に預金残高証明書を申請して、それらの書類をクレジットカード会社に送らねばなりません。

書類を揃えるまでにかなりの時間がかかりますし手間も相当なもになりますよね。

この手続きはクレジットカードの更新時も同様です。現在は有効期限が切れる前に新しいクレジットカードが郵送されてきますが、ここでも収入証明書を提出することになれば、手続きの煩わしさで退会する人も増えて来るでしょう。

増額希望のときにも書類が必要!

さらに、この支払可能見込額の調査は「限度額の増枠時」にも対応しなければなりません。

例えば、海外旅行や結婚などの際、一時的にクレジットカードの限度額を上げてもらう利用者も沢山いますよね。こうした場合にも、いちいち申告する手間などがかかるとしたら、クレジットカードのメリットである利便性が大きく損なわれてしまうでしょう。

また、支払可能見込額のチェックに引っかかりクレジットカードを持てない人が沢山出てくる懸念があります。

すでに生活になくてはならないクレジットカードですが、今回の法改正によって利便性がかなり失われます。

貸金業規制に端を発した過剰融資の問題がクレジットカードにまで飛び火させて、何が消費者保護の行政なのでしょうか?

大変疑問に思われる今回の法改正と規制です。