物価上昇の影響

image 総務省は7月25日、6月の全国消費者物価指数(2005年を100とする)は102.0で前年同月と比べ1.9%上昇したと発表した。この上昇率は消費税の引き上げの影響を受けた期間を除くと、92年12月の2.0%以来15年半ぶりの高水準となった。
加えて7月29日付けの日本経済新聞の1面では「東電、今期標準家庭月800円値上げも」の見出しが注目された。8月に入りガソリン190円も視野に入っており、原材料値上げの影響は様々な分野に影響を及ぼしている。 トヨタの四半期決算が赤字、政府も景気が減速局面に入ったと、いざなぎ景気を超えた今回の景気拡大が終焉したとの見方を示した。
アメリカのサブプライムショックがもたらした今回の原油高騰が原因の物価高騰は、スタグフレーションの可能性を示している。

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スタフグレーションの懸念

image 「スタグフレーション」とはインフレ(物価上昇)と景気停滞が同時進行する経済状態のこと。経済上の資源を過剰に使用して経済成長した場合にバランスをとるために発生するのだが、具体的には
1.何らかの外的ショック(例えば原油価格の高騰)によるコストが増大。
2.利益を圧迫された企業は生産調整を図る。
3.需要が旧来のトレンドを描く中で供給が減少するため物価上昇が加速する。
4.物価上昇が加速することで需要量が減少し供給とマッチする。
通常の景気悪化と違い、需要よりも先に供給が減少することが特徴である。解りやすくいえば給料が増えないのに物価高になる状況を示す。 トルコやアルゼンチンなど過去に国家破産した国はすべてスタグフレーションの状況から始まっており、この状態になると金利引き上げ等の金融政策は効果がなく、お手上げ状態になる。
個人で出来るスタグフレーション対策は預貯金を物に変えてしまうことである。金や銀、プラチナなどの貴金属、不動産購入、株式・投資などのリスク金融商品を購入するなど預貯金から回避させることである。ハイパーインフレでは貨幣が紙くずになってしまうので預貯金で貯め込んでおくのは自殺行為と言えよう。

個人向け国債・変動10年について

インフレリスクに強い金融商品はあるのか?
元本保証の金融商品の中でインフレに強いと言われている「個人向け国債・変動10年」。2008年7月15日発行(第23回債)の適用利率(半年間)は1.0%だった。商品概要は
1.1万円から購入可能
2.半年ごとに金利が見直される(新発10年国債の金利に連動する)
3.1年経過後からいつでも換金可能(元本割れはしない)
4.下限金利が決まっていて0.05%以下には下がらない。
長期金利の指標である新発10年国債の金利に連動して半年ごとに金利が見直されるためインフレに強いとされている。価格の変動が激しい株式や投資信託に比べると初心者向きと言えよう。また、中途換金しても元本割れしないことが大きな特徴となる。

インフレ連動で元本保証?!

東京スター銀行が発売した仕組み預金「消費者物価指数連動型定期預金」「家計の味方預金」はインフレリスクを少しでも回避できる金融商品である。
預入期間5年、100万円以上1円単位で預け入れ可能。単利計算で中途解約は不可能。仮に中途解約すると仕組み預金であるため元本割れとなる可能性が大きいので注意が必要。
「家計の見方円定期」は1年目の金利が募集ごとに提示される。2年目以降は「消費者物価指数+プレミアム金利」が適用され募集時に決まったプレミアム金利は満期まで変わらない。2008年7月の1年目の金利は1.2%、プレミアム金利は0.2%。さらに下限金利0.1%が設定されており、デフレになっても満期まで預けていれば元本割れになることはない。
思惑通りにインフレにならなかった場合、普通の円定期で運用したほうがよかった場合も考えられるが、例えば老後の生活資金を今から準備していく手段としては当定期預金はインフレリスクを回避し、長期運用での不確実さから資産を守るという意味では検討の価値があるかもしれない。
インフレリスクと付き合うにはある程度のリスク商品を組み入れながら、このような仕組み預金や個人国債、元資保障型の変額年金保険を組み入れるなどの分散投資が必要となってくると考えるが、いかがなものか?

物価上昇